家族信託活用事例 〜承継者を指定するための家族信託(2)子がいない夫婦〜

『先祖代々受け継いできた不動産があり、血が繋がった者に承継させたい(妻側の親族に流出するのは避けたい)』

ご家族構成/財産の内容

  • 依頼者Xさんには、妻Aがいます。夫婦の間に子はいません。Xさんには甥B(弟の子)がいます。
  • Xさんの財産は、自宅のほかに、先祖代々から承継している駐車場があり、不動産収入を得ています。

ご要望/心配なこと

  • Xさんは、自分が死んだ後は、妻Aには何ら不自由のない生活を送って欲しいので、駐車場の賃料収入など思う存分使ってもらいたい。
  • しかし、先祖代々承継している駐車場など不動産については、分散することなく、最終的には自分の血の繋がった者に引き継がせたい。
  • 妻Aの親族側に財産が流出することは絶対に避けたい。

例えば、Xさんが、妻の収入に確保するため「駐車場を妻Aに相続させる」 という遺言を作成したとすると、どのような不都合が生じるしょうか?

まず、遺言により妻Aは駐車場を相続します。

何もしないまま、妻Aが死亡すると、駐車場は、妻側の親族に流出してしまいます。

対策としては、妻Aにも遺言(※内容「駐車場は夫の甥Bに遺贈する」など)を作成してもらうことが考えられます。

しかし、遺言書はいったん作成した後も、いつでも自由に撤回することが可能なため、妻Aが遺言を書き換えてしまいますと、結局、妻側親族に先祖代々の資産が流出してしまいます。

つまり、遺言では、Xさんの財産が妻の親族に流出する可能性が残り、不安定となるわけです。

そこで、家族信託を利用すれば、妻が全財産を相続したのと同様の効果を得つつ、妻側の親族への財産の流出を防ぐことができます。

解決策=家族信託の活用

  • Xさんが甥Bとの間で信託契約をします。
  • 委託者:X、受託者:甥B
  • 受益者:①当初受益者X ②(X死亡後は)妻A
  • 契約内容は、
    1. 自宅・駐車場・金融資産を信託財産とします。
    2. ②甥Bは、駐車場の賃料収入など信託財産を管理します。
    3. ③Xが存命中は、受益者はXとし、X死亡後は受益者は妻Aとします。
    4. Xと妻Aの両名が死亡したら信託は終了し、残余財産の配分先として、甥Bを指定しておきます。

ポイント解説

  • 信託契約により、甥Bが駐車場など信託財産を、受託者という立場で管理します。
  • 甥Bは、駐車場収入などを管理し、収入をXに交付します。Xが、認知症になってしまっても、甥Bが信託財産を管理しますので、X夫妻の生活は安心です。《生前の財産管理機能》+《後見制度の代替機能》
  • Xが死亡すると、妻Aが次の受益者となり、妻Aは、Xの財産を相続したのと同様の効果(賃料収入を得る、自宅に住む)を得ることができます。
  • (Xの死亡以降も)甥Bは、駐車場収入などを管理し、妻Aに生活費を交付します。妻Aが、認知症になってしまっても、甥Bが信託財産を管理しますので、妻Aの生活は安心です。
  • 妻Aが亡くなると、信託は終了し、先祖代々受け継いできた不動産など信託財産は、信託契約で定めたとおり、Xと血が繋がっている甥Bが引き継ぐことができます。
    《遺言書の代替機能》
    ※遺言により所有権を取得した場合と異なり、妻Aが死亡すると妻Aの権利は消失するため、Xの財産が妻Aの親族に流出することを回避できます。

アクセスマップ

  • 〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢973 相模プラザ第3ビル 2-B
  • 藤沢駅(JR、小田急、江ノ島電鉄)北口から徒歩5分

      ページの先頭へ